研究開発

Our Activity

CNF創造センター

CNF(セルロースナノファイバー)の開発や製造をはじめ、品質管理やマーケティングを進めています。

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役割・特長

CNF創造センターでは、高透明・高増粘・軽量で高強度等の特長を持つ木質由来の新素材であるCNF(セルロースナノファイバー)について、将来的な事業の柱を目指して実用化を進めています。王子独自の「リン酸エステル化法」により製造したリン酸化CNFについて、CNFならではの機能を活かした用途探索、他材料との複合化等による用途毎に最適化したCNFの開発、安定品質や製造効率を考慮したCNF製造技術の開発・実証などを行っています。

技術

  • 材木育種技術
  • 木質成分精製技術
  • 精密パルプモールド技術
  • 化学合成技術
  • パルプ化技術
  • 不織布製造技術
  • 抄紙技術
  • フィルム製膜技術
  • 酵素・発酵技術
  • 段ボール加工技術
  • 水処理技術
  • 塗工技術
  • 粘着加工技術
  • ラミネート技術
  • ナノ解繊技術
  • 重合技術
  • 樹脂混錬技術
  • 微細構造加工技術

主な研究テーマ・活動

リン酸エステル化CNFの開発

当社は、 CNF製造時の微細化エネルギーを低減する有効な独自手法として「リン酸エステル化法」を採用しています。セルロース繊維表面にイオン性のリン酸基を導入しセルロース間に強い静電反発を起こすことで、高い生産効率で繊維径約3nmまで完全ナノ化したCNFの製造が可能になりました。
現在では、高透明・高増粘・チキソ性・保水性・粒子分散安定性を持つCNFスラリー「AUROVISCO(アウロ・ヴィスコ)」、高透明・高弾性・熱寸法安定性・フレキシブル性を持つCNFシート「AUROVEIL(アウロ・ヴェール)」、様々な有機溶剤へのCNF分散を可能とした疎水性CNFパウダー、などの多彩なCNF製造を行い、積極的なサンプル提供と事業化のための用途開発を進めています。

リン酸エステル化CNFの開発

添加剤用途でのCNF実用化

当社のCNFスラリー「アウロ・ヴィスコ」は、増粘性、チキソ性、高透明性等の特性を活かし増粘剤用途で製品採用が進んでいます。
日光ケミカルズ社と共同開発した化粧品原料向けCNF「アウロ・ヴィスコ CS」は、様々な成分に対して安定した増粘・分散機能を発揮するため、幅広いタイプの化粧品に適用することが可能です。CNFの高い粘度とチキソトロピー性によりべたつかず、みずみずしい使用感が得られます。

タケ・サイト社の生コンクリート圧送用先行剤「ルブリ」には2019年1月に製品採用されました。CNFの高いチキソトロピー性によりポンプの圧力に追従して配管内部に均一な潤滑層をつくることが可能となり、ごく少量の先行剤でスムーズな生コンを圧送を実現します。また、先行剤成分の材料分離が起きにくい品質安定性も評価されています。

添加剤用途でのCNF実用化

CNF-天然ゴム複合材の開発

CNFとゴム材料の複合では、CNF同士がゴム中で水素結合を介して三次元の網目状構造を形成することで、水中における増粘効果とチキソ性(せん断力による網目状構造の破壊と再構築)が発現するのと同様に、補強効果だけでなく伸び(変形への追従)とが両立していると認識しており、他の補強材料(フィラー)にない差別化ポイントになると考えています。
当社では、信州大学との共同研究で、天然ゴムの特長である伸びを損なわず、石油由来のフィラーであるカーボンブラック(CB)配合並みの硬さを有するCNF-天然ゴム複合材の開発に成功しました。
今後、自動車産業をはじめとして各種産業において環境配慮型素材としての活用を目指し、ユーザーとの開発を進めてまいります。

CNF-天然ゴム複合材の開発

CNF-ポリカーボネート(PC)樹脂複合材の開発

CNFとPC樹脂との複合では、親水性のCNFと親油性の樹脂との相性が悪く分散が困難である点、PC樹脂が250℃を超える高融点であるため、溶融混錬ではCNFが劣化(着色)する点、が課題となっています。
当社では、CNFシートとPC樹脂とを複合化することによって、透明性も損なうことなく、弾性率を向上させ、熱膨張を抑えることに成功しました。
本複合材はCNFの持つ高透明性、高強度、熱寸法安定性を活かしており、既存材料であるガラスに対する軽量化のメリットも見込めることから、自動車をはじめとした各種窓用途での採用を目指し、ユーザーとの開発を継続しております。

CNF-ポリカーボネート(PC)樹脂複合材の開発

セルロース-樹脂複合材の開発

CNFの用途開発を進める中で、透明性等のCNFならではの特性が求められない場合等、パルプサイズのセルロース繊維でも適用できる用途の可能性も見えてきました。当社では、王子のコア技術の一つである、水を使わないプロセスで作られる不織布の製造技術(Totally Dry System(TDS)プロセス)を活用することで、セルロース繊維の樹脂への均一分散を実現した複合材の開発に成功しました。
不織布の製造設備を使用し製造した「セルロースマット」は、プレス成形/RTM成形等により成形する複合素材となっています。成形体は剛性と耐衝撃性を両立し、さらに樹脂成分の最大70%をセルロースに置き換え可能であることを確認済みです。これにより、プラスチックの使用量削減はもちろん、強度向上による軽量化なども期待できます。
加えて、同様の特長を持ち、且つ成形自由度が高い射出成形用素材としてペレット形状の複合素材の開発にも成功しています。
今後は自動車内装材を始めとした各種部材への採用を目指し、ユーザーとの開発を進めていきます。

セルロース-樹脂複合材の開発

センター員の主な業務と働き方について

入社8年目、セルロースナノファイバーの開発業務

セルロースナノファイバーを用いた複合材料の開発に携わっています。現在は7人のチームで、ラボでの検討や実機での試作を行っています。開発の方向性についてはチーム全員で話し合い、個別の担当業務については自分の裁量で進めることができます。

日常的にフレックス制度を活用し、柔軟に勤務しています。ラボ実験のほか、文献調査や特許業務等のデスクワークもしています。社外で試作を行うことがあり、立ち会いのために外出する日もあります。Webセミナーを受講する日等は在宅勤務とし、打ち合わせもwebで行います。

タイムスケジュール

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